平均勤続年数が短い傾向にある「介護士」
介護士の平均勤続年数
介護業界は、他の分野と比べると転職が多い業界といわれています。介護労働安定センターが令和3年に実施した調査によると、介護士の平均勤続年数は6.8年。約4割の人が5年未満で転職しているようです。特に施設介護士や訪問介護士は現場業務の肉体的負担が大きいためか、5年未満で辞める確率が高い傾向にあります。
この結果をみても、介護業界は入れ替わりの多い業界であることがわかります。転職回数が2~3回という人は珍しくないので、転職回数はそこまで気にする必要はないでしょう。
ここでは、介護士が短期間で転職する理由をみてみたいと思います。
ハードワーク
介護の仕事には、高齢者の入浴や排泄、移動の介助など、肉体を酷使するものが多い傾向にあります。肉体労働は過度の疲労をもたらすうえ、無理をしすぎると腰を痛めるなどのリスクも伴います。人手不足の場合、長期労働が常態化するケースも珍しくありません。
こうした状況に耐えきれず、少しでもよい環境の職場に移ろうと短期間で職場を去る人が多い傾向にあるようです。
人間関係
介護の仕事では、複数人で協力して業務を行う場面が少なくありません。ただ激務が影響してかイライラしている人も多く、円滑なコミュニケーションがとれないこともあるようです。
また、ケアを行う高齢者の中には、クセの強い人も存在します。その人のためを思ってしたことでも理不尽に怒られたり、向き合おうとしても心を全く開いてもらえなかったりすることも珍しくありません。
特に施設勤務の場合は同じ面子と長い時間を過ごすことになるため、それに耐えきれず新しい職場を探すケースが多いようです。
ポジティブな理由での転職
ネガティブな理由だけが転職理由とも限りません。
資格取得のために支援が手厚い職場に転職するケースや、経験に見合った収入を獲得するために転職するケース、スキルアップのために転職するケースも多々見受けられます。
ハードワークや人間関係を理由とした転職も、悪い状況から脱するための転職という考え方をすれば、決してネガティブであるとはいえません。理由はどうであれ、ポジティブな気持ちで転職活動を行うことが大事です。
転職回数が多くても大丈夫な理由
介護業界では、慢性的な人手不足の状態が続いています。どの事務所もとにかく人手がほしいので、他の業界ほど転職回数は重視されません。そのため、転職回数の多さをそこまで気にする必要はないでしょう。
ただし、さすがに短期間での転職回数があまりに多いと、採用してもすぐに辞めてしまうのではないかと思われる可能性があります。辞めグセがあると思われないよう、短期で辞めてしまった理由にはしっかりと説得力をもたせましょう。